

この写真はたぶん最新の日本産婦人科感染症学会(たぶん日本の主要な産婦人科の学会?と思います。産婦人科医ならわかると思うのですが。)の公式な文書です。(なぜかネット上からコピペ出来なかったので画面を写真に撮ってあげました。)この文書をよく読んで特に妊娠を考えている女性はワクチン接種すべきかどうか参考にして欲しいということで医者と広く一般の人に向けて出された文書ですね。一応いくつか私なりの注意点を上げておきます。
1.「およそ半年という極めて短い時間にワクチン開発が行われたために、まだ長期間にわたる安全性や有効性に関する臨床データの集積はありません。」これが私の言う「見切り発車」ということであり、ネガティブな言葉ですが真にやむを得ない、仕方のないことでもあります。こういう状況で命にかかわる判断や決断をしなければならないというのはつらいところですね。
2.これまで解っている範囲ではワクチンの効果はあり、イスラエル、英国の実績では「新規感染者、重症者、死亡者のすべてで激減しています」ということ。さらに、これまでのところ致命的な副反応はなく、人間のDNAが書き換えられたり、体内で毒性物質が作られたり、ADE、つまり新型コロナにかかりやすくなったりという事実はないということです。(言い換えると、今後このような例が報告される可能性はあるが、確率は高くないだろう。)
3.「現時点では妊婦さんに対する接種について十分な知見がなく各国で見解は分れています」さらに明言されていませんが接種した女性が妊娠しにくくなるかどうかについても十分な知見はないと言っていいかと思います。すなわち「生殖に関する研究はまだ完了していませんが現時点で胎児や胎盤に毒性があるとかワクチンを受けた人が不妊になるといった報告はありません。しかしながら中長期的な副反応については今後も情報を収集する必要があります。」これはネガティブな言葉で言うとワクチンを受けた人には「モルモット」になっていただきたいです、ということになります。中長期的な副反応についてはいまだ情報が得られていないので不妊化に関する情報などはこれから収集しますよ、ということです。
端的に言うと、コロナに感染するデメリットとワクチンを受けるデメリットを比べて一人ひとりにとって何を犠牲にするのか、し得るのか、決めてくださいということです。もちろん自分が死んでしまえば子供を産むことは出来ません。ただ、日本ではまだコロナにかかる確率はさほど高くありません。かかっても死ぬ確率は低いです。またワクチンで不妊化する確率も多分さほど高くはないでしょう。それならばコロナをより心配するかワクチン接種の結果をより心配するか自分で決めなければなりません。誰も結果を保証してくれないので自己責任で選ぶしかありません。これ、悩ましい決断ですよね。
追記 山中伸弥教授の新型コロナ情報サイトにすでに妊娠していた医療従事者などがワクチン接種を受けた結果、特段のワクチンによる妊娠に対する悪影響はなかったというデータがありましたので一部コピペしておきます。妊娠してしまった人がワクチン接種を受けても普通の副作用以外に妊娠や胎児に対する悪い影響は今のところ見られないといったところかと思います。逆に妊娠している人は新型コロナに感染すると様々な悪影響があるということです。したがって妊婦のワクチン接種は推奨されるようですが、将来の妊娠に対する影響は依然として不明です。
4月21日には、アメリカからmRNAワクチン(ファイザーまたはモデルナ社製)を妊娠期間中に接種した人の追跡調査の第1報が報告されました。
ワクチン接種をした約4000人の妊婦が対象で、約94%は医療従事者、約79%がNon-Hispanic Whiteでした。今回は、この中で妊娠を終了した827名について追跡調査をしています。流産や死産、早産、および新生児の低体重、先天性奇形の発生率は、コロナ禍以前の調査結果と差がありませんでした。また新生児の死亡は報告されていません。
調査参加者の報告
20週未満の自然流産 20週以後の死産 37週未満の早産 低体重 先天性異常 新生児期死亡
コロナ禍以前 10-26% 1%以下 8-15% 3.5% 3% 1%以下
ワクチン接種後 12.6% 0.1% 9.4% 3.2% 2.2% ゼロ
妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合の影響に関しては多くの論文が報告されています。これまでに報告された42論文、計438,548名の妊婦についての情報を収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説(メタアナリシスと呼ばれる)が3月19日に公表されました。
このメタアナリシスによると、妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、子癇前症(妊娠に伴う高血圧や蛋白尿)が約1.3倍、早産が約1.8倍、死産が約2倍、それぞれのリスクが増大しています。また妊婦のICU、および新生児のNICUへの入院リスクが、それぞれ4.8倍と3.7倍増加しています。
さらに新型ウイルスに感染して重症だった妊婦は、軽症だった妊婦に比べて、子癇前症や早産のリスクは約4倍増大していました。
以下上記日本産婦人科学会の文書がコピペ可能になりましたので引用しておきます
COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ⽇本産婦⼈科感染症学会⽇本産科婦⼈科学会 第 2 版 令和 3 年 5 ⽉ 12 ⽇ 2021 年 2 ⽉からわが国でも COVID-19 ワクチン接種が始まりました。COVID-19 感染 患者さんに接する医療従事者や重症化リスクの⾼い⾼齢者が優先的に接種を受けています が、今後希望するすべての国⺠に接種が始まります。政府はすべての⽅に、無償で接種を⾏ う⽅針で進めています。
COVID-19 のパンデミッンックが昨年に始まり、およそ半年という極めて短い時間にワクチン開発が⾏われたために、まだ⻑期間にわたる有効性や安全性に関する臨床データの集積はありません。ただし、⼤規模な接種を始めたイスラエルや英国では、新規感染者、重症者、死亡者のすべてで激減しています。副反応の⼀つであるアナフィラキシーを含むアレルギーの頻度は、⽶国におけるファイザー製ワクチン治験時には 0.0011%とされています。現在までのわが国の接種では、局所の疼痛・腫脹、頭痛、疲労、悪寒、筋⾁痛、関節痛、下痢、発熱などの症状が 1−2 ⽇続くとする報告はありますが、致命的な副反応は報告されていません。mRNA が接種を受けた⽅の遺伝⼦に組み込まれるとか、接種を受けた⽅が有害な物質を産⽣するといった事実はありません。さらに、接種後に感染しやすくなるという事実もありません。しかし、2 回の接種を受けて 1−2 週間以上たたないと抗体は⼗分に誘導されず、また変異したウイルスには効果が⼗分でない可能性もありますので、引き続き三密回避やマスク着⽤は必要です。
現時点では、妊婦さんに対する接種について⼗分な知⾒がなく、各国で⾒解が分かれてい ますが、世界的な流⾏拡⼤と妊婦の⼀部で重症化することから積極的に接種をすべきとい う考え⽅が⼤勢を占めています。⽶国の ACIP(ワクチン接種に関する諮問委員会)は、妊 婦を除外すべきではないとしていましたがii、CDC は本年 4 ⽉ 24 ⽇、⼗分な情報を得た個 ⼈の選択ではあるが、妊婦への接種を推奨するとしていますiii。英国では当初妊婦中の接種 を積極的には推奨していませんでしたが、接種のリスクよりも感染のリスクが⼤きいこと
から、希望者には接種をためらうべきでないとしていますⅳ、ⅴ。また、COVID-19 mRNA ワクチンの⽣殖に関する研究はまだ完了していませんが、現時点で胎児や胎盤に毒性があるとかワクチン接種を受けた⼈が不妊になるといった報告はありません。しかしながら、中・⻑期的な副反応については、今後も情報を収集する必要があります。⽇本産婦⼈科感染症学会および⽇本産科婦⼈科学会として、現状において以下の提⾔をします。
1. COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を⽰す情報が出つつあるが、中・⻑期的な副反応や胎児および出⽣児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。 2. 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない。 特に⼈⼝当た りの感染者が多い地域では積極的な接種を考慮する。接種する場合には、産婦⼈科医は 被接種者に、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していない ことを事前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内で経過観察 する。現時点で mRNA ワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無い
が、器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。妊婦には⺟児管理のできる産婦⼈科施設などでワクチンを接種する事が望ましく、なるべく接種前後に超⾳波やドップラー 検査などで胎児⼼拍を確認する。直前検査が難しい集団接種や、産科のない診療所など で接種する場合、接種前後 1 週間以内に妊婦健診を受診するように促す。また,接種後 に腹痛や出⾎、胎動減少などの症状があればすぐに産科を受診するように指⽰する。 3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅で、感染リスクが⾼い医療従事者、保健介護従事者、 重症化リスクが⾼い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種 を積極的に考慮する。 4. 妊婦のパートナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。 5. 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワ クチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)
患者さん⼀⼈⼀⼈の背景が違いますので、まずは産婦⼈科の主治医と⼗分にご相談ください。i Tom Shimabukuro, MD, MPH, MBA,Narayan Nair, MD;Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine.JAMA Published online January 21, 2021. doi:10.1001/jama.2021.06001回⽬接種を受けた 1,893,360 ⼈中、アナフィラキシー含むアレルギーの頻度は 21 ⼈、そのうち 17 ⼈にはアレルギーの既往 があり。 ii COVID-19 vaccine safety update.Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) March 1, 2021 https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-02/28-03-01/05-covidShimabukuro.pdf iii Information about COVID-19 Vaccines for People who Are Pregnant or Breastfeeding Updated Apr. 28, 2021 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/recommendations/pregnancy.html ⅳ Royal Society of Obstetrics and Gynaecology . COVID-19 vaccines and pregnancy https://www.rcog.org.uk/en/guidelines-research-services/coronavirus-covid-19-pregnancy-andwomens-health/covid-19-vaccines-and-pregnancy/ ⅴ Public Health England Guidance The safety of COVID-19 vaccines when given in pregnancy Updated 30 April 2021 https://www.gov.uk/government/publications/safety-of-covid-19-vaccines-when-given-inpregnancy/the-safety-of-covid-19-vaccines-when-given-in-pregnancy