やっと日本のメディアもバイデン寄りの欧米メディアのおうむ返しでなく、トランプ陣営の主張や闘いを真面目に報道し、今、アメリカ大統領選挙で起きている現実をまともに伝える記事が現れ始めています。ヤフーニュースの「すべて」ジャンル14番目と15番目に現在上がっている木村朗氏の記事などがその一例です。(この順番は私の興味をAIが察知して上位に上げているのでしょうが)以下にそれらを紹介したいと思います。
トランプ大統領の本格的反撃は、11月9日のマーク・エスパー国防長官の解任、そして11月17日の国土安全保障省(DHS)サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)のクリス・クレブス長官の解任から始まった。
エスパー国防長官の解任は、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に首を圧迫されて死亡したことを受け、全土で抗議行動が発生し全米で黒人差別撤廃運動が激しさを増していた6月、トランプ大統領はデモを鎮圧、警備するために『反乱法(Insurrection Act )』(1806年)を発動して軍を出動させることを要請したがエスパー長官がそれに反対したという背景があった。
ただそれ以上に、トランプ大統領がエスパー長官代行に指名したクリストファー・C・ミラー氏が直ちに着手した今回の大統領選挙での不正選挙疑惑をめぐる捜査などへの積極的協力を拒んだことが大きかったと思われる。 また、クリス・クレブスCISA長官は、外国勢力からの干渉や国内で偽情報を拡散させる活動から大統領選挙を守る取り組みを監督していたが、今回の大統領選挙について、「大統領選は改ざんや不正操作から守られている」と繰り返し述べてきた。 それに対して、トランプ大統領はツイートで、「2020年選挙の安全性に関するクリス・クレブス氏の最近の声明は非常に不正確だ。 既に死亡している人が投票したこと、選挙監視員が投票場への立ち入りを許可されなかったこと、投票機の不具合でトランプからバイデンに投票がすり替わったこと、期限を過ぎた投票など多くの不正があった」と指摘しており、エスパー長官と同じく、不正選挙疑惑の調査に非協力であったことが解任の理由であった可能性が高い(「ウォールストリート・ジャーナル」2020 年11月18日)。同氏が率いるCISAは、11月3日の大統領選は「米国史上最も安全だった」との声明を出していた。 新しく米国防長官代行となったミラー氏が11月18日の記者会見で、「スーパーパワー」と対抗するためアメリカの特殊作戦部隊は今、即時に直接ミラー氏が主導することになると発表した。 この「スーパーパワー」とは、トランプ大統領が繰り返し言及してきた「ディープ・ステート」に他ならない。 また、ミラー米国防長官代行は12月4日、国防総省高官らに助言する諮問機関「国防事業理事会」のメンバー11名(ヘンリー・キッシンジャー氏やマデレーン・ オルブライト氏らも含まれるという)を解任し、トランプ大統領の側近で元選対本部長のルワンドウスキ氏や元選対副本部長のボシー氏ら計11人を新たに指名したと発表した(共同通信配信 「西日本新聞」デジタル版)。 また、最近になって、国防総省(ペンタゴン)がバイデン政権移行チームからの接触を拒絶していることが判明した。 この引き継ぎ実務は、エスパー前国防長官を解任したトランプ大統領が送り込んだ側近のカッシュ・パテル氏が統括している(「スポニチ」デジタル版)。 このことは、トランプ大統領が以前、バイデン陣営への政権移行プロセスの一部(初期段階)を承認した、と語っていた事実とも符合している。
戒厳令の発布はあり得るのか?
トランプ陣営の切り札は、いま世界中から注目を集めているシドニー・パウエル弁護士(元連邦検事)とともに、マイケル・フリン氏(オバマ政権で国防情報局長官、トランプ政権で安全保障担当補佐官を担当、元米陸軍中将)であろう。 フリン氏が、あのでっち上げであることが明らかになった「ロシア・ゲート」で起訴されて窮地に追いやられていたときにパウエル弁護士が弁護団に加わって不起訴を勝ち取ったというのが両者の関係である。 トランプ大統領は感謝祭の11月26日にフリン氏に対する恩赦を発表していることも注目される。 このフリン氏の復活を印象づけたのが、マイケル・フリン氏とその友人のトーマス・マキナニー氏(元米空軍中尉)が行った「WVWネットワーク」というネット放送局での電話インタビューである。 この電話インタビューで、フリン氏は、「今回の大統領選で大変な不正が行われていて、これは絶対に許してはならない。もしこんなことを許せばアメリカが崩壊してしまう、と主張している。マキナニー氏は、ドイツのフランクフルトにサーバーがあり、表面上はサイテルという会社の名前になっている。しかし、これは実質ドミニオンという会社であって、ドミニオンのサーバーになっているが、実質CIAが運用しているものである、アメリカの陸軍の特殊部隊(デルタフォースや米軍第305情報大隊の名前が挙がっている)がフランクフルトのある場所を急襲したが、その際に銃撃戦が起こり、米軍が5名、CIA側は1名が亡くなった。トランプ大統領は国家反逆罪が明確になるまではホワイトハウスを出てはいけない。ここで触れられている銃撃戦についての真偽はまだ不明であるが、もし事実であるとすれば衝撃的である(「WVW BROADCAST NETWOARK」2020年11月29日、澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)「米民主党、トランプ政権にクーデター?」)。 このマイケル・フリン将軍は、オハイオ州に拠点を置く非営利団体「We The People Convention」(パウエル弁護士とフリン将軍が主導して設立)が12月1日に発表した陳情書に触れて、トランプ大統領に臨時戒厳令を宣言し、2020年の大統領選の全国再選挙を実施して軍に監督させるよう呼びかけている(INDEPENDENT 03 December 2020)。 このフリン将軍の発言に呼応するかのように、シドニー・パウエル弁護士とリン・ウッド弁護士も12月3日のジョージア州の集会で、米大統領選挙で大規模な不正が行われ、民主主義が深刻な脅威にさらされていると強調し、戒厳令発令の必要性に言及している。 リン・ウッド弁護士は、トランプ大統領は今年の5月22日に、国家緊急状態法202(d)条を1年延長しており、国家緊急状態(戦争状態)は来年の5月19日まで続くことになる、この国家緊急状態法は、大統領に憲法の条項、例えば、人身保護令も中止することが出来る非常に大きな権限を与えている、トランプ大統領には、この最終手段が残っており 今回の不正選挙に関わったとされる、ジョー・バイデン氏、オバマ元大統領、ヒラリー・クリントン氏、ナンシー・ペロシ氏、チャック・シューマー氏、元CIA長官、元FBI長官、現在のCIA長官とFBI長官、など主要人物を始めとして、不正を知りながら加担した全ての人々を法的手続き無しで国家反逆罪として捕まえて軍事裁判にかけることができる、と述べている(芹澤絵美「アメリカ”戒厳令”発令の可能性」、リン・ウッド弁護士の演説)。 一方、トランプ大統領は、12月7日にマイク・ペンス副大統領とともにウィスコンシン州のミルウォーキー巡回裁判所に訴状を提出した。 その訴状では、民主党候補バイデン氏とハリス氏を提訴し、ミルウォーキー郡とデ-ン郡の選挙結果に不服を申し立て両郡の数十万もの不在者投票が廃止されるべきだと述べている。 ウィスコンシン州ではバイデン氏が2万票をリードしている。現職の正副大統領が次期に予定されている(確定ではない)を訴えることは、いうまでもなく米国歴史上初めての「前代未聞の出来事」である(それにもかかわらず、日米の主流メディアは完全に無視している)。 これは、トランプ大統領が依然として、戒厳令発動や非常事態宣言という最後の手段ではなく、法的手段、法廷闘争を優先して争う姿勢を示したものだと解釈できよう。 しかし、これは、「あくまでも現時点では」という前提での話であって、今後の情勢の展開次第では十分にあり得る選択肢であるといえよう。 またトランプ大統領は12月1日深夜にツイートし、来年度の『国防権限法』の中の第230条を廃止することを議会に強く求めている。この230条は、米国における1996年の『通信品位法』の法的規定である。 トランプ大統領は、第230条を盾に主流メディアやインターネット企業が「事実上の言論検閲」を実施し、法的責任を負わずに取り締まるための保護傘となっており、国家安全保障と総選挙の誠実と信用に深刻な脅威をもたらしていると指摘し、議会が来年度の『国防権限法』の中の第230条を廃止しない場合、同法案を否決すると表明した(ロイター12月9日)。 これは、トランプ大統領が主流メディアやSNSを運営する巨大IT企業(「ディープ・ステート」の一角を占める)が「ファクト・チェック」と称して自分たちに都合の悪い言論を封じてきたことに対して徹底的に戦う姿勢を鮮明にしたことを意味している。 これに対してGAFAの一角であるGoogleの傘下にあるYou-Tubeは、選挙不正があったと主張動画を削除する方針を発表している。12月8日が選挙を巡る各州の紛争の解決期限で、大統領選挙の開票結果が認定されたためとしている(「共同通信」12月10日)。 こうして中で一つの節目とされた12月8日を迎えた。全米50州が、選挙結果を認定して選挙人団の選出を行うことが確定したという(しかし、今後いくつかの州でそれが覆される可能性があることも否定できない)。 また、この日に連邦最高裁は、トランプ米大統領を支持する共和党議員らが大統領選後、東部ペンシルベニア州で全有権者に郵便投票を認めた州法は無効だとしてトランプ氏敗北確定の差し止めを求めた裁判で、「(州最高裁判決の)差し止めは認めない」と訴えを退ける決定を下した(BBC12月9日)。 最高裁の声明文はわずか2行で、決定の理由や異議を唱える判事の意見は示されなかった。 AFP時事の記事(12月9日)によれば、「8日は各州の集計結果の確定期限で、これ以降は新たな再集計の申し立てや提訴がほぼ不可能になるとされる。法廷闘争を通じたトランプ氏の逆転勝利が絶望的となった」と伝えているが、果たしてそうであろうか。 確かに、他の18州やトランプ大統領も参加したことで注目を集めていたテキサス州パクストン司法長官から提起された郵便投票のルール変更に関して4州(ジョージア、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン)を訴えた件での訴訟は昨日(12月12日)の段階で連邦最高裁が「当事者適格に欠ける」との理由で却下するという結果に終わったようである。 しかし、このテキサス州の提起した訴訟には、地元の支持者などの声を受けた106名の下院議員がトランプ大統領支援の署名をしたというニュース(「NEWSMAX」2020年12月11日)が示しているように、不正選挙を絶対に許すな、あるいは、不正選挙があったか否かを明確にせよ、という世論の大きなうねりが生まれ初めている。 テキサス州が提起した訴訟で敗訴した後でコロナ感染から復帰したばかりのジュリアーニ弁護士が明言したように、トランプ弁護団による連邦最高裁での訴訟はこれからも続くのであり、法廷闘争での決着がついたと現時点で考えるのは早計である。 トランプ大統領は、連邦最高裁決定の数時間前にホワイトハウスでの会合で、大統領選について「議員や最高裁判事の中に、万人が正しいと考えることをする勇気のある者がいるか、見てみよう」と発言して、バイデン次期大統領の勝利を覆す判断を下すことに期待を表明していた。 今回の判決はトランプ大統領の期待に沿うものとはならなかったが、周囲から相当の圧力(脅し・脅迫と買収・取引など)がかかっていると推察される最高裁判事たちの「勇気」が試されるのはまさにこれからである。もちろん、連邦最高裁がこれからもトランプ側のあらゆる提訴を門前払いする可能性はある。 トラ ンプ大統領・弁護団、民主党陣営は、法廷闘争での勝利を目指すだけでなく、選挙結果とは無関係に州議会が選挙人を指名する戦略をとっている。そうであれば、大統領選の次のヤマ場とされる12月14日も一つの目安にしかならないはずだ。 大統領選挙をめぐる法廷闘争や議会闘争のより重要な期日は、選挙人団の投票がマイク・ペンス副大統領のもとに届けられる12月23日、さらには選挙人団の投票が開票される来年1月6日となるだろう。来年1月3日に予定されているジョージア州の上院選挙の結果も大きな意味を持っており、再び不正選挙疑惑が出ないように万全を期する必要があろう(すでに現在ドミニオンの使用をめぐってトランプ・バイデン両陣営で争いが起こっている)。 大統領選挙をめぐる法廷闘争や議会闘争のより重要な期日は、選挙人団の投票がマイク・ペンス副大統領のもとに届けられる12月23日、さらには選挙人団の投票が開票される来年1月6日となるだろう。来年1月3日に予定されているジョージア州の上院選挙の結果も大きな意味を持っており、再び不正選挙疑惑が出ないように万全を期する必要があろう。 トランプ大統領がいまは自重している最後の手段としての戒厳令発令・非常事態宣言を選択させないようにするためにも、今後の州議会での動きと連邦最高裁の対応が「憲法と民主主義を守る戦い」にかなった「司法の正義」を示すものとなることを願うばかりである(なお、米大統領の戒厳令発令・非常事態宣言については、浅川公紀「米大統領職と緊急事態権限」が参考になる)。
「ディープ・ステート」との死闘の行方
トランプ大統領は12月2日の午後、突然ホワイトハウスで40分間に及ぶ演説を行った。 トランプ大統領は冒頭に、「今回の演説は自分がこれまで行った中でも最も重要なものだ。自分はこれから米国2020年の選挙で起きた大規模な詐欺と不正行為を暴き、また包囲攻撃を受けている米国の選挙制度を守ることを決意している。自分は米国の法律と憲法を守るという大統領としての至上の責任を果たす」と宣言した。 また12月8日に記者団の質問に答えるかたちで語った、「選挙での不正の証拠は明らかだと思う。今、どのような行動ができるかが分かった。今後数日間に大きな出来事が起こるだろう」というトランプ大統領の言葉は、何を意味しているのだろうか。 日米の主流メディアはトランプ大統領の演説・発言の持つ重大な意味をほとんどまともに報じていない(CNNは「すでに虚偽と証明されたくだらない話」と強く批判している)。 それは、12月14日の選挙人による投票という重要な期日を前にして、これからトランプ大統領があらゆる選択肢を念頭に入れながら、「腐敗を一掃せよ! (drain the swamp! )」という自分の言葉を実行に移す、すなわち「ディープ・ステート」(軍産複合体や国際金融資本、大手メディア・IT企業などを含む巨大ネットワーク)と戦う覚悟を表明したということに他ならない(この「ディープ・ステート」については、オリバー・ ストーン/鳩山友紀夫/ピーター ・カズニック、木村 朗 (共著)『もうひとつの日米戦後史』詩想社、2020年5月を参照)。 トランプ大統領が選挙人団の選出を求める州議会での共和党の試みや「選挙結果の無効化」を求める連邦最高裁での違憲訴訟が不発に終わった場合には、非常事態線や戒厳令発布という最後の手段を使う可能性が出てくるだろう。 すでに不正選挙に関わったと思われる多くの人々がグアンタナモ基地に移送されて尋問を受けているという未確認情報も流れている。 そして、連邦議会上院では、バイデン氏の息子、ハンター・バイデン氏を召喚して中国やウクライナとの金銭問題疑惑に対する本格的な追求が始まっている。 一方、トランプ大統領はバイデン父子のこの疑惑には犯罪の可能性があるとして、特別検察官を任命して捜査することを、今年(2020年)の10月の時点でウィリアム・バー司法長官に指示していた。 バー司法長官は12月1日に2016年大統領選へのロシア介入疑惑をめぐる連邦捜査当局(FBI)の捜査について、その発端を調べているコネティカット州のジョン・ダーラム連邦検事を特別検察官に任命したと明らかにしている。 トランプ大統領は、すでに「オバマ・ゲート」、すなわち、いわゆる「ロシア・ゲート」疑惑の捜査の背後にいたのはオバマ前大統領であり、オバマ前政権とFBIなどの官僚組織が共謀して、トランプ政権への違法な妨害行為を行った、と考えており、マイケル・フリン氏が不起訴になった5月の時点で同じジョン・ダーラム連邦検事を特別検察官に任命していたのである(「日系ビジネス」デジタル版「民主党に戻ってきたロシア疑惑ブーメラン」、NHK「“オバマ・ゲート”に揺れるアメリカ」、岡田善明『ロシアゲートとトランプ大統領__恐るべきヒラリーの暗躍』目白経済出版を参照)。 この問題は、「ロシア・ゲート」から「オバマ・ゲート」、「バイデン・ゲート」、そして「ヒラリー・メール」事件とも連動しており、トランプ大統領とオバマ氏、バイデン氏、そして、ヒラリー・クリントン氏との根深い対立・確執の種となっている。 これからバイデン氏は大統領になるか否かにかかわらずこの問題で苦しまされることになるのは間違いない。 米国は、いまだかってないほど社会の分断・二極化がますます激しくなってきており、まさに内戦の一歩手前の状況にあるといえる。 こうした事実上の内戦状況にあるという認識をトランプ氏・共和党支持層だけでなくバイデン氏・民主党支持層も含めて多くの人々が持ち始めている。 大統領選挙前から米国内では銃器の販売・購入が急速に拡大しており、すでに弾薬については品切れ状況という事実がそれを示している。 すでに米国内では、多くの暴動(例えば、11月14日のトランプ支持者による「MEGA100万人行進」の際の衝突事件)が起きているだけでなく、今回の大統領選挙に関連してジョージア州では死者さえ出ているのだ。 12月14日の選挙人による投票の結果がどちらになるにせよ、こうした米国社会の分断・二極化がさらに進むことだけは確かであろう。 またもう一つ懸念されることは、今回の大統領選挙で行われた大がかりな不正に中国やイラン、ロシア、セルビアなどの外国勢力が関わっているという情報がトランプ弁護団などから出されているという問題である。 シドニー・パウエル弁護士やリン・ウッド弁護士などから、ドミニオンの問題に関連して中国やイランなどが介入した確たる証拠を握っているとの言及が幾度もなされてきた。そして、大統領選挙を盗むために民主党関係者と外国政府が共謀したという疑惑を訴えている。 この件でのトランプ大統領の言及はごくわずかではあるが、こうした中国の「間接侵略」に対して何らかの「報復措置」をとるべきだとの声も上がってきている。 今のところ決定的な根拠は開示されていないが、これまでの在任中に大きな戦争をしなかったことで一定の評価を受けてきたトランプ大統領が明確な事実確認もせずに対中戦争(限定的な軍事攻撃!? )を発動するという最悪の事態も想定される。 私たちはこのような最悪な事態を避けるためにいま何ができるかを考えなければならない。もし中国など外国勢力の選挙介入が事実であったとしても、それを口実として戦争発動・武力行使をするのは正当化できない。 なぜなら、過去世界中で多くの国々への選挙干渉を行ってきたのが他ならぬ米国自身であり、今回の事態(CIAなどの不正選挙への関与)を通じてあらためてそのことが浮かび上がっているからである。 現在の状況は、すでに単なる選挙の勝敗を超えた米国の政治・社会構造の一大変革の予兆であり、さらに米国一国を超えた新しい世界秩序のあり方をめぐる地殻変動を示しているといえる。現段階では、大統領選挙の最終結果と「ディープ・ステート」との暗闘の結末がどうなるかの見通しは不透明である。 しかし、その大変革がもたらす新しい世界・社秩序がいかなるものになるかは、米国民だけでなく私たちにとっても重大な意味を持っていることはいうまでもない。 いまこそ私たちは、現在の「思考停止」状態から脱して、あらゆる情報を主体的かつ批判的に読み解く能力を身につけ、この問題を自分自身の問題として考えることが求められている(マーク R. レヴィン著『失われた報道の自由』日経Bには、なぜ米国一流メディアは偏向報道を続けるのか、ニューヨーク・タイムズやCNNをうのみにしてはいけない、が詳細に書かれており大変興味深い)。 (前回はこちら:トランプ「法廷闘争終焉」の今…不正選挙疑惑とどう闘うのか)
木村 朗(鹿児島大学名誉教授)
以下もやっと昨日になって配信されたトランプ陣営の不正選挙に対する闘いの報道です。いずれもネット上では常識となっていた内容ですがヤフーなど大手メディアで配信されることは極めて少なかったので多くの日本人には信じ難いほどの選挙不正です。
現在、トランプ陣営は、3つの分野・戦線で不正選挙を正す戦い、すなわち「憲法と民主主義を守る戦い」を続けている。それは、以下の通りである。 【写真】大噴出した「不正選挙疑惑」…トランプは本当に負けたのか ---------- (1) 法廷闘争:今回の大統領選挙で選挙の投票と集計で不正行為が行われたか否かの訴訟(現在は州レベルで行われているが、最終的には連邦最高裁で「今回の大統領選挙は憲法違反で無効である」という判決が出されるかどうかが大きな鍵) (2) 議会闘争:第一段階は、州議会での公聴会開催(不正選挙の実態を明らかにして選挙人団を州議会で決定できることを確認する)、第二段階は連邦下院において選挙人団を過半数で決定すること (3) 非常事態宣言・戒厳令の発動:「国家反逆罪」を問う軍事法廷の開催 ---------- このうち、法廷闘争と議会闘争は連動しているので、そこからチェックしていこう。 まず現在(12月7日の時点)の大統領選挙の状況を述べると、トランプ大統領が不正を訴えている激戦6州(ウィスコンシン州、アリゾナ州、ペンシルベニア州、ミシガン州、ネバダ州、ジョージア州)がジョー・バイデン氏(前副大統領)の勝利を公式に認定した、11月30日の時点で全米の30州以上が結果認定を終え、未認定の州も一部(カルフォルニア州は12月11日が認定期限)を除いて12月8日の認定期限までに選挙結果を認定することになっていると伝えられている(NYTや「日本経済新聞」12月2日)。 その後、カルフォルニア州が当初の認定期限の12月11日ではなく4日の時点で結果認定を行ったため、残りのコロラド州など5州を除いても、バイデン氏279人、トランプ氏217人となってバイデン氏の勝利が確定したという報道がなされている(「日本経済新聞」12月6日)。 これらの報道では、「ジョージア州では12月2日を期限に得票の再々集計を行っているが、一転してトランプ氏が勝利するとの見方はほぼない」「訴訟を相次いで起こすトランプ陣営や共和党は敗訴が相次ぎ、逆転への展望が見えない」「トランプ陣営は12月初旬までに選挙の不正を理由に全米で46の訴訟を提起したが、すでに28は却下または取り下げられた。大半の訴訟は選挙結果を覆す根拠を示せていない」とされている。 果たして本当にそうであろうか。 例えば、ジョージア州や他のいくつかの州でも、いま法廷闘争とは異なる方法でトランプ氏の再逆転につなげようとする新たな動きが進んでいる。 トランプ大統領の選対陣営は、法廷闘争で大統領選の結果を覆すシナリオが必ずしも順調とはいえない中、バイデン氏が勝利した激戦州の州議会共和党議員に公聴会開催によって不正の証拠を開示して世論の流れを変えて、選挙の集計・再集計の実施や州議会で選挙人を指名させるという有利な状況に持ち込む戦略にシフトしている。 ジョージア州上院が12月3日に開いた2つの公聴会で、不正選挙の動かぬ証拠(選挙スタッフが不正を行う様子を撮影した動画)が提出された。 この動画によって証言の裏付けがなされたこともあって、ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党:ドミニオン投票システムと中国製防疫用品を購入した際に巨額のバックマージンを受け取ったことでリン・ウッド弁護士から告訴されている)はこれまでの態度を改めて投票用紙の署名・消印の再検査の必要性を初めて認めて指示した。 前回行われた再集計では郵便投票の署名の署名・消印はなされず、僅差でのバイデン氏勝利は動かなかった。 しかし、今回の再々集計で、バイデン氏のリードは1万票程度とごく僅差なため、今度はトランプ氏再逆転の可能性も出てきている。この他にも、ジョージア州では、今回の選挙で使用されたドミニオン投票機械の差し替えをめぐって州裁判所の対応が2転3転する異常事態も生じている。 同様の動きは、いま公聴会を開催している、あるいはこれから開催するいくつかの州でも生まれようとしている。 また、州議会と州知事・州務長官による大統領当選者の認証が異なり、各州でそれぞれ二つの選挙人団が選出されるケースもあり得るというのが現状である。 その結果、12月8日までにジョージア州などいくつかの激戦州では選挙人団の選出が行われず、12月14日に選挙人団による投票を全州で同時に行うという公式日程がずれこむ可能性も出てきている。 こうした中で、ペンシルバニア州では、共和党議員団の弱腰もあって、州議会で選挙人団の選出を行おうとするトランプ陣営の試みは不発に終わっている。 また、米ペンシルベニア州地裁で共和党の訴訟した「郵便投票第77号法案」担当のパトリシア・マカルー判事が、11月25日に、大統領戦の結果認証に差し止め命じたが、その後、州の最高裁がそれを撤回するという事態も起こっている。 そして、トランプ陣営の提訴に基づき米連邦最高裁のサミュエル・アリート判事は、集計の即時差し止める共和党の訴えを退けたが、投票日の午後8時以降に到着した票を別に集計しておくようにと指示している。 またトランプ陣営はすでに、バイデン氏が勝利したとされるペンシルベニア州の連邦地裁に対し、結果には不正があり、共和党が多数派を占める州議会が同州の20人の選挙人を直接指名する必要があるとの判断を出すよう求めている。 そして、ペンシルベニア州では、2019年10月に郵便投票で署名・消印がなくても有効とする法改正(ACTS77)が行われたが、この法改正は合衆国憲法違反、州憲法違反であるとして連邦最高裁に訴える動きも出ている。 いずれにしても、最後は、連邦最高裁で「今回の大統領選挙では大規模な不正が行われ、選挙そのものが憲法違反で無効」という判決が出るかどうかが大きな鍵である(後述するように、この件での連邦最高裁の判決ではトランプ陣営の訴えは退けられた模様である)。 一方、そうした法廷闘争とは別に、何らかの理由で12月14日にいくつかの州で選挙人投票を行うことができなかったり、トランプ氏、バイデン氏のどちらも270人の選挙人を獲得できなかった場合は、下院で大統領選出が行われることになる。 下院全体の議席数では民主党が優勢だが、「1州1票制」で行われるので、今回の選挙でも共和党が勝って過半数の26州の票を得ているので、この下院での大統領選出まで持ち込めればトランプ氏勝利の可能性が高い。 ただし、憲法修正20条によりトランプ氏の任期が終わる来年1月20日正午までに下院が大統領を選べなければ、上院が選んだ次期副大統領が大統領を代行する。 上院が副大統領も選べなければ、下院議長(現状では野党のナンシー・ペロシ氏)が大統領代行を務めると1947年の大統領継承法は規定している(「日本経済新聞」デジタル版2020年10月20日)。 この件では、あの反トランプの立場をとるCNNでさえ、州議会がその代表者を選択する憲法上の権限を持っていることを10月28日段階で取り上げているのがあらためて注目される。 2021年1月20日に大統領就任式が予定されているが、それまでに最終的な決着がついているかどうかも不明だ。まさにこれからが本当の意味での選挙戦であり、「憲法と民主主義を守る戦い」であるといえよう。
トランプ陣営側の大きな動きとして注目されるのは、11月19日に共和党全国委員会本部で行われたトランプ大統領弁護団の記者会見である。 この記者会見は、トランプ弁護団のルディ・ジュリアーニ弁護士(元ニューヨーク市長)とトランプ大統領の顧問弁護士のリン・ウッド弁護士、上級法務顧問のジェナ・エリス弁護士が主催したもので、今回の大統領選挙で行われた不正行為と選挙干渉のいくつかの具体例を示した。 リン・ウッド弁護士は、「11月6日にこれらの発言(「突然FOXニュースを含む全てのメディアがアメリカ国民に嘘をつき始めた」「160万人の不在者投票の記録は、私が調査したら二重投票でした」)を行って以来、郵便投票に加えてコンピューター投票システムに大規模な詐欺があったという圧倒的な証拠を見てきた。 彼ら(共和党員でありながら明らかな不正選挙を認めようとしないジョージア州のブライアン・ケンプ知事とブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官)は逃げることはできない」と主張した。 また、この記者会見に同席したシドニー・パウエル弁護士(元連邦検事)は、「ドミニオンの投票機が投票用紙を変更したことを示す“驚異的な”統計的証拠と証言を持っている」と述べ、この不正に、ベネズエラ、キューバ、中国、クリントン財団、ジョージ・ソロス氏が関与している可能性を示唆した。そして最後に、「クラーケンを解放するつもりだ」と語っている。 また、パウエル弁護士は、この記者会見前の11月13日にもFoxビジネスネットワークに出演し、「トランプの調査チームは不正投票の大量の証拠をもっていて、カギとなる州の選挙結果を覆すために、その証拠を公にする計画がある」、「何十万という不正な票がある。トランプ大統領は今回の選挙で地滑り的勝利を得ているのだ」、「不正はシリコンバレーの巨大企業やソーシャルメディア企業、メディアによって入念に準備され実行された」と重要な事実を明らかにした後で、「わたしはクラーケンを解き放つ!」と言い放って注目をすでに集めていた(「独立メディア塾」テレビ朝日アメリカ 社長・武隈 喜一「クラーケンを解き放て!」)。 そして、この「クラーケン(時代によって姿も性質も様々に語られる巨大な海の怪物)」が実は具体的に何を指したものであるのかを私たちは後日知らされることになる。 これまで不正選挙疑惑で我々が注目してきたのは、トランプ大統領が今年の6月から「不正の温床となる」と警鐘を鳴らしてきた郵便投票であった。 しかし、このトランプ大統領の警告は新型コロナの影響で郵便投票を拡大せざるを得ないという声にかき消されてしまった(「郵便投票は不正につながる」と11月6日にトランプ大統領は再び主張している)。 この郵便投票は本人確認の方法が曖昧になる、引っ越した人や既に死亡した人の住所にも投票用紙が送られてしまうため、その投票用紙が悪用される可能性が高いなど不正行為と結びつきやすいさまざまな欠陥を持っていることは以前から多くの論者に指摘されてきた。 だからこそ、これまでは障害者など特別な事情のある者だけを対象に限定して使用されてきたわけである。 それが実際に行われた可能性があることを、特に今回の選挙の開票作業の終盤で突然外部から深夜に何十万という謎の郵便投票が持ち込まれて密かに集計された結果、前日までのトランプ氏リードの票が翌朝から再開された開票でバイデン氏リードに逆転されてしまうという不可解な現象を多くの人々が目撃したという証言が示唆している。 ただ、実はこの注目されていた郵便投票や同じく不正行為が行われたとされる不在者投票よりもはるかに重要かつ決定的な役割を果たしたと指摘されているのが、「ドミニオン集計システム」である。 「ドミニオン集計システム」であることが次第に判明してきている(パウエル弁護士が起こしたジョージア州とミシガン州の大規模な訴訟でサイバーセキュリティ専門家のナビッド・ケシャワルズニア(Navid Keshavarz-Nia)のドミニオン投票集計ソフトを使った不正選挙の実態を暴いた宣誓証言、「ナショナル・ファイル」が報じた、内部告発者の「バイデン氏はドミ二オン投票機をコントロールするために、かつて個人的にセルビアに訪れた。その背後にはオバマ氏、司法省、クリントン財団、金融界の大物ソロスなどが絡んでいる」との証言など)。 今回の大統領選挙では、ドミニオン社製の投票集計マシンが全米28州で使用されたといわれている。 この「ドミニオン集計システム」によって、トランプ氏の票が突如削除されたり、バイデン氏側に動かされたりしていることがもし証明されれば、全体の集計結果に対する信頼性が根底から覆ることになる。 現在、激戦州で行われている訴訟の多くでトランプ氏側が敗訴しているが、元々トランプ陣営の基本戦略は米最高裁に持ち込むことであり、むしろその方が好都合だとの解釈もできる。 パウエル弁護士が提出したジョージア州の起訴状の中には、トランプ陣営は郵便投票で不正が行われることを予想して事前に「投票用紙の透かし」が入れられていたという衝撃的な証言・証拠も含まれているという。アリゾナ州では投じられた郵便投票の6割にこの透かしが入ってなかったとの疑惑も出されている。それに関連して、トランプ政権が実施したおとり捜査では、すべての投票にQFSブロックチェーン透かし入り暗号化コードが付けられた、これにより、各投票の正当性が証明される、とのSteve Pieczenik博士の発言も注目される(Watermarked Ballots CONFIRMED In Sidney Powell’s Lawsuit! 、NATURAL NEWS November 05, 2020、賀茂川耕助 「大阪日日新聞」2020年11月12日)。
木村 朗(鹿児島大学名誉教授)