そもそも莫大な国の予算を投じたGoToキャンペーンについては、いつコロナが収束するのかわからないのに今から予算に入れるの?と疑問が持たれていました。それが5月末の急速な感染縮小によって急に現実味を帯びてきた訳です。国には今お金を投じないと観光業や地方の経済がもたないのではというあせりも感じられます。もちろん当事者の観光業者にとっては昨日決まった東京の除外は晴天の霹靂(へきれき)、やっと見えた希望の光が消されたということでしょう。
しかし、キャンペーン頼みの観光振興なんて長続きするでしょうか?倒産を防ぐためなら倒産しそうな業者に無制限に融資、補助金を注ぎ込むほうが早いです。観光業の危機はコロナ自粛の副産物です。自粛警察やロックダウン首長や緊急事態宣言がうまく機能した結果で、これを手のひらを返すようにブレーキから急にアクセルに切り替えるなら感染拡大はさけられません。自粛警察は違法または倫理的に許されない過激な自粛の強要ですが、日本においては世間体とか世間の目というような行動変容や抑制への圧力も感染拡大の抑制の役にたっていることは否めないでしょう。東京都知事の小池氏は海外のトレンドをカタカナ語で取り入れて首都東京の感染拡大を抑え込もうと努力されています。緊急事態宣言は都道府県の首長に権限を与え、地域の実情に合わせて新型コロナの流行を抑制することに役立ちました。
現在、国民の中には気のゆるみが広まっており、「あ、旅行もいいの?」ということになるとどうしても羽目をはずす人が出てきます。そういう人が全国に散らばって無症状でも感染を拡大させていきます。東京などを震源地とした第二波、第三波が始まっているという警告も出されています。観光業を救うには急がば回れです。コロナと共に、というスローガンは誤解を与えます。ボルソナロ大統領のように、コロナはただの風邪だから流行しても問題ないんだととられてはいけないのです。あくまでコロナを徹底的に抑え込む。ゼロには出来ないから細心の注意を払いながらゆっくり経済を回していく。まず感染の抑制ファースト、検査と隔離ファーストでなくてはなりません。
そうしてある程度安心できる状況になったらGoToキャンペーンにも意味が出てきます。それまで各県中心の観光振興策でいいのではないでしょうか。地域連合が共同でキャンペーンをするのもいいでしょう。東京など感染源となりうる地域からの旅行を勧めると同時に首長は県外に出るなとアラートを発するなんてちくはぐな政策は世界の笑いものにしかなりません。
キャンペーン自体も一時中止にせざるを得ない事態が近々訪れるのではないかと危惧しています。