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三浦春馬さんの早逝を悼む:真面目なるが故に追い込まれてしまったのか?

誰にもスランプや挫折はある。許しあうこと、支えあうこと、友を持つこと、リセット出来ることが大切。

 コロナで死んでも他の何で死んでも人生の終わりは終わり。今日7月20日、偶然ですが日本で1000人目の新型コロナの死者が出ました。新型コロナの何が怖いか、何が問題かというと多くの人の命が失われる、放置するともの凄く多くの人が急に死んでしまうということです。経済が止まることでも倒産が多発し、自殺や貧困で死ぬ人、人生の機会を失う人が増えます。あまりにも惜しい三浦春馬さんの突然の死は新型コロナと関係あるかないか不明ですが、私達はこの非常時に本当に有意な人材を失ってしまった訳で、彼の早逝を悼み、自殺という選択に何か別の道がなかったのか考えてみたいと思います。

 

 三浦春馬さんは日本を代表する若手俳優の一人と言っても過言ではないでしょう。30歳というのは若手であっても新人ではなく、特に子役から始めた三浦さんはベテラン俳優でした。先日もテレビの土曜プレミアムでコンフィデンスマンJP-ロマンス編が放映されジェシー役で出ていました。とても魅力的な演技でした。過去には俳優として自信を失くしたこともあり、全てを捨てて農業をやりたいと訴えたこともあるそうです。しかしそんな時期を乗り越え、海外への進出も果たし、俳優としての受賞歴も積み重ね、何にでも挑戦し、何でもこなしてきた。本当にこれからの活躍が楽しみな今になって突然の自殺が彼のキャリアを断ちました。

 

 亡くなられた部屋には自らの悩みを記した手帳があったとのことです。手帳に書けるくらいはっきり自覚したなやみがあったのに誰にも話すことが出来なかった。本気で無条件に悩みを聞いてくれる人がいなかったのでしょうか。自ら孤独の罠に陥り内向的になって友人にも心を打ち明けられず、かと言って専門家にも頼ることなくひとり重荷を背負いこんでしまったのでしょうか?

 

 生きるということは悩むということです。壁のない人生はない。危険のない道はない。山に登るためには飛んで行くことが出来ないならいったん谷へ下ることも必要です。ひとりでは乗り切ることが出来ないなら仲間に助けてもらうことも、誰かに支えてもらうことも必要です。失敗し、回避し、恥をかき、撤退してでもまた挑戦する。生きのびることが目的になることもあります。疲れ切ったら休むことです。そういう柔軟性が大切だと思います。

 

 責任をしょい込んでしまうと身動きがとれなくなります。三浦さんも重要な役をやりすぎて疑問を持ちつつも引っ込みがつかなくなったのでしょうか。コロナ休演などで時間に余裕が出来て、自分に向き合いすぎて悩んだのかも知れないと専門家が言っていました。俳優というのは必ずしも好きなことをやっているのではなくて人に求められることをやろうとする。自分ではない人になろうとする。善人や悪人、神や魔物にまでなろうとします。芸術家の表現の道具となってフィクションやノンフィクションを紡ぐ。当然、自分に厳しい人ほど思う演技が出来なくて悩みます。

 

 完璧主義、努力の塊のような人は精神医学的には問題があります。うまくいけば成功への道を歩めますがうまくいかないともがき苦しみます。イチローのような天才と努力の人にも引退の時が訪れました。その時、別の役割、仕事に移行できて今も活躍されています。頑張らないではいられない人こそ「頑張らない」という標語が時に大切になります。なぜなら努力により解決できる問題とできない問題があり、一生を通して大切なのは自分のちからで「頑張らない」で委ねることによって問題を解決するこつです。レットイットビー、あるがままに。価値あることを成し遂げるのでなく、存在そのもの、命そのものの価値を発見する、肯定する、受容することが大切です。すると、不思議にも以前より価値あることが出来るようになります。人間の頑張りではなく大いなる命の力にあずかることが究極のセーフティーネットになります。

 

 三浦さんの場合、悲劇が起こってしまった。これはもう変更できないですが、志村けんさんの死や他の有名人の死が私達の意識を変えて感染拡大を抑えたように三浦さんの犠牲も多くの人の意識を変えて、仕事は全てではない。最後まで頑張って、駄目なら投げ出してもいい。新型コロナは災害なので事業が駄目になったら長い目で立ち直ればいい。津波や洪水と同じだ。東日本大震災と同じだ、と腹をくくって欲しいと思います。

 

 生きている人、生き残っている人には使命があります。エンターテインメントもスポーツも外食産業も観光産業も医療も介護も生まれ変わる必要がある。別のことをやってもいい。何も出来なくてもいい。孤立しないで、どこかで繋がって、何度でもやり直して、新しい「人にやさしい日本」の新日常を作っていきたいと思います。