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コロナの検査が進まない:その4、WHO顧問渋谷教授『全ての国民に検査を!抗原検査併用も検討を』

検査と隔離で緊急事態を解除せよ⇒経済の早期V字回復へ 5月7日羽鳥モーニングショーAM9:00~

 全ての国民にPCR検査を!というスローガンは過激なものですが、これを提唱されたのはWHO上級顧問の渋谷健司教授(元東京大学教授、現在英国キングズ・カレッジ・ロンドン教授)です。これまでのPCR検査の趣旨と役割についての概念を全く超えた提言なのでその意味をよく考えてみたいと思います。

 近い将来に日本の全国民1億3千万人にPCR検査をし終えるというのはまず無理です。ですから渋谷上級顧問はイギリスの例では、特定の都市を選んでそこの30万人人口の全員にPCR検査をすることから始めようとしていると言います。そうするとその地域で何割の人が実際にリアルタイムで新型コロナ感染症で陽性かがわかります。(一定の誤差はあります。)すると以前のその都市と似た感染確認者数と、似た変化のパターンがあった同じ規模の都市では似た割合の陽性者がいると推定することが妥当です。サンプル都市に集中的に検査をする訳です。

 

 これは感染者の全体像を把握するために必要で、その推移も機敏にとらえることが出来ます。例えば一日10万件の検体を検査するセンターをこの調査に使えば3日で30万人の検査が出来てしまいます。日本の場合、首都東京の感染状態の把握が急務です。一日10万件の検査ならざっと1千万人は100日で出来る計算になります。(これには都民の協力も必要です。)

 

 仮に日本政府と東京都が総力をあげてこれを実施したとするなら例えば3パーセントの都民約30万人が陽性ならその方々のクラスター対策をすると東京の感染を抑え込めるのです。陰性の人は経済活動を自粛する必要がなくなります。これで経済のV字回復が十分期待できます。実際には首都経済圏、首都通勤圏の各自治体の総数検査も同時並行で行う必要があります。

 

 この戦略を成功させるためには現在のPCR検査のキャパシティー(能力)を一桁は上げる必要があります。全国では一日20万件の処理能力が目途となるでしょう。これで全国でも陰性者はほぼ自由に経済活動が出来ます。約3か月、百日で2千万人の検査です。一億人の検査のためには5百日、オリンピックの時には全選手、スタッフ、観光客にもPCR検査をする必要があります。

 

 目からウロコが落ちたというか、やっと解ったというか、第二だか第三だか、ともかくもう一つの道があるんだということです。今、首相、政府、そして専門家会議の先生方が目指している緊急事態の出口戦略はクラスターが再び追えるようになるまで国民に自粛をお願いするというもの。そのためには多数の倒産や閉店が出ても、おなかをすかせた人がいても、学生がたくさん退学しても、政府にもお金がないんだから仕方がないというものです。

 だから休業補償はしない、出来ない。ともかく自粛をお願いする。なんらかの理由でやってゆけない人や企業、店舗があれば申し訳ない。謝ります、と。なんだか後ろ向きな印象を受けるんですが日本には医療資源がない、強制力のある法律がない、憲法が悪いから、IT化が遅れている、マイナンバーが普及していないからあきらめるしかない、というものです。

 じゃあ、いつになったら緊急事態を解除できるの?というとそれは分からないのです。どれだけの市中感染、見えないウイルスの潜伏、暗躍があるか検査できない以上2週間後の結果を見るしかないのです。しかもその結果は検査数が圧倒的に少ないので疑問符がついて出てくるのです。自宅で変死していた人、通常の肺炎という診断で亡くなった人、あるいは交通事故やがんで亡くなった人も実は無症状でも新型コロナウイルス陽性だったかも知れません。

 そういう人は無視していいじゃないかと言えるのか?現在感染者の半数以上が無症状の人から移されているのではないかという学説が無視できない以上、気が付いたら自分が感染していて高齢の家族に移してしまったということになりかねません。

 

 渋谷教授は4月16日に感染者はおそらく感染確定者の10倍以上いると推定、有識者会議の8割おじさんこと西浦博北海道大学教授もこの点ではほぼ一致し、今年2月に北海道で新型コロナウイルスが感染拡大した時期に、道内の感染者数を推計したところ900人を超えており、「それはだいたい確定患者の10倍程度」だったとして、「現在も10倍がそのまま適用できるか。むしろ、それより大きい可能性があると考えている。少なくとも10倍を超える感染者がいると認識はしている」と応答した[23][24]

23.^ 感染者は発表の「少なくとも10倍超える」 北大教授、慶大病院事例も「貴重な情報」(THE PAGE)” (日本語). Yahoo!ニュース (4/24(金) 22:59配信). 2020年4月27日閲覧。

24.^ 千葉雄登 (2020年4月25日16:28). “"8割おじさん" こと西浦博教授がPCR検査について語ったこと。実際の感染者数、現在の10倍いる可能性にも言及” (日本語). BuzzFeed. 2020年4月27日閲覧。

(ウィキペディア 渋谷健司より)

 体温計測だけでスクリーニングできないのが新型コロナです。無症状の人は普通の生活をしてマスクをつけていればいいですよ、というのが初期の方針でした。検査を増やすと医療崩壊につながる、医療システムがパンクする。それは事実だったと思います。指定感染症の法律が感染者を全員入院させていた。医師や検体採取者が使用せねばならないN95マスクが足りない。保健所がパンク寸前。検体を運ぶ車と運転者が足りない、等々でした。今こそ、この状況をひっくり返す時が来たのではないでしょうか。まずはPCR検査体制を現在の10倍以上に拡充する必要があります。