感染拡大の初期は無症状の感染者を放置しても次々と院内感染や施設内感染、市中感染が起きることは滅多にありませんでした。ところが今、都市圏などでは潜水艦のように潜伏する見えないウイルス、が次々と遭遇する人を感染させています。それだけ市中感染の濃度(不特定多数の感染者密度)が高くなっている地域があります。
赤外線センサー(体温計測)や症状のモニタリングではウイルスが見えない無症状感染の場合ウイルスは容易に病院や施設に侵入していきます。第1波が仮に収束したとしても、第2波、第3波と繰り返し襲ってくる感染拡大をどう止めるのかが問題です。ウイルスはどこにひそんでいるかわからない。どうやって感染しているかもまだ十分にわかっていない。おおまかなガイドラインはありますがNHKスペシャルが院内感染の特集をやって対策としてこまめに手を洗いましょう、で終わっている(とまでは言えない?にしても極めて物足りない内容、もちろん手洗いや消毒は重要です)。さらにあらゆる可能性を想定してひとつずつ隙を潰していくことが必要です。
そして最初で最後の決め手は検査と隔離と医療です。例えば警察が犯人を捜して捕まえる、というと感染者が差別されていけませんが、真犯人はウイルスなのですからウイルスを捕捉して隔離する、そして体内で抑制し制圧していく、ということです。ウイルスの所在を見つけるのがPCR検査や抗原検査ですからそこから対策が始まります。
では、現在1日あたり20万PCR検査を可能にする体制をつくるにはどうすればいいのでしょうか?実は今、世界における新しい知見や技術、機械や試薬キットなどによってついこのあいだまで不可能と思われてきたことが可能になってきているようです。
1. まず、全自動PCR検査機器と試薬システム。今、脚光を浴びているのはドイツのロッシュ社の製品コバス8800で1日1台で4000件の検体を検査することが可能です。50台あれば1日20万件検査が出来るはず。実はロッシュ社の検査機器も日本の技術を使っているそうで日本製の全自動PCR検査機器と試薬キットもありこれらをフランスに輸出して感謝されています。要は検査を増やすのに最適な機器を用意すればいいと思います。
ロッシュ製コバス 6800/8800 PCR検査装置。国内の現有だけですぐに63000件/日検査可能
野村直之のAI幸福論 Triple Happy AI Perspectives by Dr. Nomuran
これ使って検査を激増させないと医療崩壊が1,2桁激化するでしょう。
ロッシュ製コバス 6800/8800 PCR自動検査装置。国内の現有だけでH31年以来63000件/日検査可能です。人間がするのは、ウォークイン・ブースかドライブスルーに防護服対応して検体をとり、試験管にセットするだけ。臨床検査技師のようなスキルは不要。検体の取り違えのないFool Proofな仕組みを徹底し、陽性者の再検査を迅速に行えるようにすれば、下手に医療機関に丸投げで任せるより、高精度な検査となり、院外で感染者の仕分けする仕組みが完成できます。
平成30年度までに導入されたのが、コバス6800システム(>1000件/日・台)が23台、8800システム(約4000件/日・台)が10台。
令和元年度(今年3月末まで)の購入分が入っていないので、過去数年分の大学病院などの購入実績を外挿すると、30台に近くなりそうです。
最大のネックは、これらの多くが文科省の予算で購入されたものなので、厚労省管轄のコロナウイルス検査(コバス6800/8800用の新型コロナウイルス用の検査キットは4/8に承認されています)に流用できないと思い込んでいる人が多いことなのでしょうか?
中央動物病院 > BLOG > 日本の全自動PCR検査機器メーカーがフランスより感謝状
STAFF BLOG 2020/04/24 日本の全自動PCR検査機器メーカーがフランスより感謝状前回紹介をしました全自動PCR検査機器のメーカーがフランス駐日大使より礼状を受け取ったと伝えています。
新型コロナウイルス感染症の蔓延で苦しんでいるフランスにおいてエリテック社が販売する全自動PCR検査機器が大活躍をしておりますが、それを製造し試薬を供給する日本のメーカーへの礼状です。
前回にも紹介しましたが、フランス、イタリア、ドイツその他ヨーロッパ各国、アメリカなどで日本の技術を駆使した全自動PCR検査機器が活躍しておりますが、日本では出番を与えてもらえないようです。
これさえ使用できれば検査技師の労力と感染リスクを最小限に抑え、コンタミネーションなく多検体を短時間で検査出来るのですが・・・
世界から大きく後れを取っている日本の検査態勢が、できるだけ早く安心出来る体制となってくれることを願っています。
2.次は米国エール大学が発表した唾液で検体採取したらPCR検査が正確に出来てしまったという研究です。もしこれが日本でも検証・承認されれば安全かつ容易に、素早く検体を採取できます。昨日、5月9日にアメリカFDAが承認、3日前に日本医師会は新型コロナウイルスに感染したか確認できるPCR検査の方法について、唾液を使った方法を実用化することを求めました。 (Nスタ 5月7日放送)
- HTB NEWS日本医師会も前向き 北大「唾液」によるPCR検査2020/05/08(金) 17:52 掲載
『新型コロナウイルスの感染を調べるため、検査数の増加を求める声が多いPCR検査。しかし、防護服や除菌消毒用品の不足などもありその実施件数は思うように増えていない。PCR検査に詳しい北海道大学血液内科の豊嶋崇徳教授が検証を進めているのが唾液によるPCR検査だ。豊嶋教授は「唾液の採取というのは、ここにぺっと吐いて蓋をするだけ。全くリスクはありませんし、取ったたものをどこかに置くだけなので、PCR検査を広げていくために大きなバリアを破る方法ではないかと思います。」と説明。これまでの検査では、鼻の奥まで綿棒を入れて検体を採取していたが…。豊嶋教授「PCR検査が増えない理由として、検体採取する人が確保できないということ。鼻から採取するときにくしゃみをしてもろに感染するリスクが高いんです。」北大では、陽性患者10数名に対し鼻の粘液と唾液両方でPCR検査をしたところ、どちらからも陽性反応を得ることができたという。豊嶋教授「人が発病する前に唾液でうつしてしまうというのも非常によく説明がつくし、味覚異常も説明がつく。」日本医師会も「唾液による検査」に前向きだ。日本医師会・横倉義武会長「唾液を使ったPCR検査については、加藤厚生労働大臣に速やかに実用化をして頂くよう申し入れをした。」しかし、唾液による検査が実用化されたとしても課題が残る。PCR検査に使う試薬不足。北大では、現時点の手持ちは300検体の測定分だけ。世界中でPCR検査の試薬を使っているため、連休前に発注した1000テスト分はまだ届いていない…。』
(つづく)