これまでの新型コロナ対策では極めて疑わしい患者のみ検査し、結果が陽性と判定された患者を専用病棟へ受け入れ、医療スタッフは厳重な防護を行った上で対応してきました。防護服、N95 などの高機能マスク、ゴーグルの三点セットとレッドゾーン、グリーンゾーンの明確な区別、徹底した消毒、陰圧室などで感染者と接触してもウイルスに被ばくしない防護をしてきました。感染者が既知のクラスター(感染集団)に属していてほとんど把握できていた時期にはこれでよかったわけです。ところが無症状の感染者が市中に増えて、症状があっても風邪や頭痛、腹痛など他の病気でも起こるものでその患者がPCR検査を受けることも出来ずに病院に来ると感染症に対して無防備な病棟や医療チームにウイルスが移されてしまうことが起こってきます。新型コロナウイルスによるCOVID-19は無症状の時、発症前の一日二日に最も感染力が高まるらしいとわかった今、院内感染を防止するには全く違った対策がプラス・アルファで必要になっています。
「NHKは、各自治体の発表や医療機関への取材などをもとに、3日前の今月21日の時点で各地の院内感染の状況をまとめました。
それによりますと医療機関で新型コロナウイルスに感染した、あるいはその疑いがある医療従事者や患者などは、全国のおよそ60の医療機関で合わせて1086人に上りました。
医療従事者は513人で、このうち医師は109人、准看護師などを含む看護師は181人となっています。
また、患者は534人に上っています。
(※内訳不明者などその他は39人)。」
これと全く同じ施設内感染が老人ホームやデイサービス、障害者施設、日中支援サービスの中でも発生しています。市中感染が広まっている中で施設職員の感染防止、施設利用者の感染防止のため新しい知見に基づいた新しい対策が切実に必要とされています。
院内感染の防止のためには病院に出入りする患者のスクリーニング、例えば検温や事前の電話相談、動線の区分け、社会的距離の保持、救急患者のPCR検査、CT検査や抗体検査などが有効で、また医療スタッフも同じく検温や定期的なPCR検査、抗体検査などで自身が感染していないか、感染源になっていないかチェックしなければならないです。また、より高機能なマスクの使用、医療用ガウン、フェイスガードの使用、床やベッドや医療機器、端末、携帯、靴などの消毒が必要です。
全く同様に高齢者施設、障害者施設でも出入りする利用者や職員のスクリーニング、検温、定期的なPCR検査、抗体検査、施設や備品の消毒、食事テーブルの間仕切り、社会的距離の確保、(濃厚)接触の8割以上減を目指すことが必要です。
結論として私が行政に求めたいのは高齢者および障害者施設などでの大規模集団感染を防ぐために職員やパート従業員、利用者などに定期的にPCR検査、抗体検査などを行い出来るだけ早期に内部クラスターを発見し、その拡大を阻止する機敏な対策です。これらの施設にひとたびウイルスの種をまかれると感染が起こり、感染は見えないところで急速に拡大します。高齢者および障害者の大規模施設内感染は院内感染と同様、医療崩壊を起こし、死者を量産する福祉崩壊をまねきます。